◆映画・音楽業界に学ぶ◆

出版で生き残るために
知るべきことと・考えるべきこと

講師:中川 右介氏(前 出版社アルファベータ 代表取締役編集長)


■日時 平成28年2月26日(金) 午後6時15分〜午後8時30分
■会場 岩波セミナールーム
      (岩波ブックセンター裏3F、神田神保町交差点 徒歩2分)
■会費  7,000円
■企画 出版研究センター
■主催 出版ビジネススクール事務局
    〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-11
    TEL(03)3234-7623 / FAX(03)3238-9420

ご参加のおすすめ

 栗田出版販売の民事再生申立以降、大阪屋との経営統合は、70年代に映画界で経営不振となった大映と日活とが共同の配給会社「ダイニチ」を作ったものの数年で瓦解した史実を思い出させた。そして日販が赤字転落との報道。残念ながら、出版界は「末期」にあると認識しなければならない。
 1958年、映画館の年間入場者は11億2745万人だったが、皇太子ご成婚と東京オリンピックでテレビが普及し、64年には4億3145万人と僅か6年で38パーセントになった。ひとつのメディアが衰退するときはすさまじい勢いとなる。映画人口は1972年に2億人を割り、以後も二度と2億人を超えることはないが、1億を割ることもなく、最低でも96年の1億1957万人で下げ止まった。映画館マーケットは40年で1割になったが、絶滅はしなかったのである。大手五社のうち、東宝、松竹、東映は生き残った。
 本と同じ著作物の複製を売るレコード業界は、 出版よりも先にネットによって打撃を受けた。98年にCDの年間生産枚数は3億6400万枚だったが、その年をピークに2014年には1億7000万枚と半減した。レコード会社の合併はあったが、レコード業界はまだ存続している。
 出版物の売上減は電子出版だけではなく、新古書店、 図書館、 ネットオークションなどさまざまな要因があるが、そんな原因を追求している暇があったら、自分はどう生き残るかを考えたほうがいい。
テレビに移った映画人が生き残ったように電子出版に行けばいいのか?
CDは売れないがライブは右肩上がりだ。では本におけるライブとは何だ?
やめていく人がみんなやめれば、結局生き残れるのではないか?



【講師略歴】
中川右介(なかがわ ゆうすけ)氏

1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。
アルファベータ代表取締役編集長(2014年まで)として出版に携わるかたわら、音楽・映画・歌舞伎などに関する40点以上の著書がある。最新刊は「オリンピアと嘆きの天使ヒトラーと映画女優たち」(毎日新聞出版)
80年代半ばの電子出版黎明期から出版界へ。父子三代にわたり出版社を経営し、その体験談を耳にして育ち戦前から現在までの出版史にも精通。音楽や映画の評論家として、これらの業界事情にも詳しい。
出版についての著書として「出版社社長・編集者・作家の購書術 本には買い方があった!」(小学館新書)もある。